色覚異常(いわゆる色弱・色盲)についての情報サイトです。

色覚異常とは?

色覚異常とは、大多数の方の色の見え方と明らかに異なる色覚のことで、日本では男性の約20人に1人、女性の約500人に1人、人数にすると全国に300万人以上いるとされています。

ユニバーサルデザイン、とりわけ色覚バリアフリーを考えるときには、私たちが色を感じる能力「色覚」の仕組みとともに、色覚異常の方々の「大多数の方と異なる色覚とは何か?」を知っておく必要があります。

色覚とは、視力や光覚など「視機能」の一つです。視機能の中でも色覚は、現代社会においてとても重要な情報伝達手段になっています。
印刷技術の発達により、少し前までは白黒だった新聞・教科書・一般書籍などは、ほとんどがカラー印刷になりました。地図や案内図、電光掲示板も多色のものが普通になり、パソコンなどによる情報伝達法も普及しました。
また、鉄道の路線図や、公共施設や博物館、展示会場などの案内図などでは、多彩で微妙な色づかいが主流になってきています。

大多数の方にとってはこのような色の表示は分かりやすく、情緒的情報さえも伝えられる便利な信号なのですが、色覚異常の方にとっては、これら色信号による表示は識別しづらく、かえって不便を感じるといった経験も少なからずあります。

色覚の仕組み

そもそも私たちは、どのようにして無数ともいえる色を感じることができるのでしょうか。
モノが見えるのは、光が黒目から眼球内に入り、眼球の内側に半球状に広がる網膜というスクリーンに景色などが映されることに始まります。この映像が視神経を伝わって大脳の視覚のセンター中枢に運ばれ、ここで景色が再現されるのです。
眼球はビデオカメラに、網膜はカメラのフイルムに、脳はテレビに備えられたコンピュ−タに、視神経は両者をつなぐコ−ドにたとえられます。

網膜には、光を受け取る視細胞と呼ばれる細胞が並んでいます。視細胞には、明るい環境で働く錐体細胞と、暗い環境で働く杆体細胞とがあります。
錐体細胞には、光の三原色(長波長の赤い光・中波長の緑の光・短波長の青の光)のそれぞれに対応した、赤色を感じる視細胞「赤錐体」、緑色を感じる視細胞「緑錐体」、青色を感じる視細胞「青錐体」があります。(真っ暗闇の中では色がわからないのは錐体細胞が働いていないからです)
この3種の錐体細胞によって、眼の中に入ってくる光が受け取られ、その情報が視神経を伝わって大脳に運ばれると、その3つの情報の組み合わせによって、私たちの脳内で無数の色が生まれるのです。
テレビのカラーが、光の三原色である赤、緑、青の組合せでつくられるのと同じ原理です。

色覚異常

色覚異常の方の色覚が異なるのは、赤錐体、緑錐体、青錐体のいずれかが正常と異なる、あるいは働いていないためとされています。
いずれかが正常と異なる場合を、「異常3色覚」=従来は「異常3色型色覚」(いわゆる色弱)。
いずれかが働いていない場合を、「2色覚」=従来は「2色型色覚」(いわゆる色盲)としています。

また、赤錐体が正常と異なると1型(従来は、第1色弱、第1色盲)、緑錐体が正常と異なると2型(従来は第2色弱、第2色盲)とされ、この赤錐体と緑錐体の異常が、いわゆる色覚異常のほとんどを占めるためこれらを総称して赤緑色覚異常といわれています。
これらの視細胞のバリエーションは、遺伝子によって決定されるとされています。

色覚異常の見え方

色覚異常の方の色覚には色が不足している、というのは誤った考え方です。
前述のとおり、色覚異常の方は、三原色の一部が異なった組み合わせで、あるいは2色の原色で、多彩な色を脳内に表現していると考えた方が近いのでしょう。
しかし、その世界が、どのようなものなのかは誰にも分かりません。実は本人にも、比較するべき一般的な色覚がないために、どのように異なるのかは判明しません。
ただ言えるのは、正常でも色覚異常でも、お互いにそれぞれ豊かな色覚を自覚しているということ。ただし色彩の一部に関しては、お互いにズレが生じるということです。

わたしたちは、さまざまな物質を見て、その色を瞬時に認識しているように感じると同時に、物体そのものに色があると感じています。
しかし、色は光の反射にすぎません、空気中の様々な波長の光が物体に当り、その物体がどの波長をどれくらい吸収・反射・透過したかによって色が決定されるのです。
例えば赤いリンゴの場合、リンゴが赤い光を発しているのではなく、リンゴの皮が、長波長の赤い光が反射されその他の波長の光は吸収される物質であるだけなのです。
リンゴから反射された赤い光の波長は、眼の奥の網膜に届き長波長領域の赤錐体が反応して光の像が結ばれます。その像は電気信号として視神経を通り脳に伝達されます。
大脳の中枢では、それまでの記憶などの情報が加わり、赤いリンゴと認識されるというわけです。

そのため、正常な色覚とされている人でも、感じている色はそれぞれ違うと考えられています。例えば、たくさんの赤いリンゴの中の最も赤いリンゴは、人それぞれで違うでしょう。
色覚とは、一人ひとりの見え方・感じ方でありその人がどのように色を感じているかはお互いに知る由がありません。自分の見え方で色を覚えているともいえるのです。

色覚異常の色識別を容易にするために

色覚異常の方の色覚が、色の不足ではないということは理解いただいたと思います。
問題や不便なのは、大多数である一般(正常色覚)の色覚では見分けやすかったり重要な意味を含んだ色情報が、色覚異常の方の色覚世界では見分けにくいことがあるからです。
そのために、現在では「色覚バリアフリー」の考え方の下、誰もが識別の容易なカラーユニバーサルデザインや、色識別の補助メガネが登場しています。
(株)ワールドマンセルのカラービューは、色弱、色盲とされる方が混同、誤認しやすい色に対して、明るさや色のバランスを変えて見分けやすくすることを目的に開発されました。
色覚専門医の指導の下で開発されたもので、使用者のみなさんからは、色覚のバリアが解消したという声が聞き取れます。

色覚異常(いわゆる色弱・色盲)についての情報サイトです。
色覚異常(いわゆる色弱・色盲)についての情報サイトです。